Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

信頼できない書き手による適当な言葉

那賀乃とし兵衛さんのこんなエントリを読んだ。

dimofsoul.mitona.org

なんかこちらのお名前、見たことがあるなぁとか思ってたけど、去年言及してた。

schutzengel.hatenablog.com

ブログのお引越しをされた、と云うことなのでしょうね。

そのときにちょっとうちのコメント欄で対話してわかったのは、この方は用語の意味をわりあい適当に把握して使っているらしいこと。
なので、実際にはエントリのなかで使われている「科学至上主義」みたいなことばにはあんまり意味はないし、ご本人に問いただしてもあまり意義のあるご返答はもらえないだろう(上のエントリのコメント欄でも、「疑似ホメオパシー」って造語をお使いになってなにかを語ろうとされていたけれど、定義がふにゃふにゃなので意味の通る会話にならなかった)。

じゃどうしてそんな用語を使うのかと云うと、たぶんそれが刺激的に見えるレッテルだからなのだからだろう、と思う。結局のところこの方はアフィリエイターのようなので、その意味でまぁ炎上上等、どうせならとりたてて意味はなくとも多くのひとを刺激するような用語を使ったほうが商売上お得、と云うような感覚なのだろう。

「水質浄化の効果についても、否定する報告が多い」ということと、「水質浄化の効果は否定された」ということはまったく違います。

あくまでも、「水質浄化の効果が明らかでない」というだけのことです。

ぼくは「EM菌には水質浄化作用があるかもしれない」と思っていますから、その立場で学校教育にEM菌を取り入れることは、当然オーケーだと思います。

けれど、「EM菌には水質浄化作用がある」というのは「仮説」にすぎませんから、学校教育の場では、当然この点についてきちんと明らかにすべきでしょう。

また、効果が明らかではないわけですから、公費を使ってEM菌を大々的に培養するなどということは、するべきではないでしょう。

しかし、同時に「EM菌には水質浄化作用はない」というのも「仮説」にすぎないのですから、

  • それを理由に「学校教育ではEM菌を用いるべきでない」ということはできない

と考えます。

まぁこのへんはOSATOさんのブログの「EM」カテゴリを読んでもらって、それでもEM菌には水質浄化作用があるかもしれない」と思っていますと云えるのかどうか、と云うことなんだけど、まぁこの見解はアフィリエイターとしての商売上のアングルから発されたものだろうから、この方に再考をうながすことそのものにたぶんあまり意味はない(そもそも自分の発言そのものにそれだけ誠実に向き合ってはいない)。

このへん、ニセ科学への批判にネガティブな言説をものす方がよく採用される「グレイなものはそれが白に近かろうが黒に近かろうがグレイなので、個人として白と言い張ろうが黒と言い張ろうが免責される」と云う手前勝手なスタンスにお立ちなのだろうなぁ、と思うのだけれど(このスタンスそのものも表通りで発言する以上無理筋だし、ましてやアフィリエイターと云う商売人にとっては職業倫理上どうよ、みたいに思う)。

以上のことを、口語的にまとめると、

  • EM菌の効果が証明されていないからと言って、水質浄化問題に関する限りは、そんなに目くじら立てなくていいんじゃないの?

ということになるわけです。

ここのところは要するに、水質汚染・浄化の問題はNot in my backyardなので、自分にとっては(あるいは自分の商売にとっては)特に関心事ではない、と云うことを根拠に「大きな問題ではない」と主張しているわけで、ここのところも商売人の倫理としてはどうかなぁ、とか思う。

と云うわけでこのエントリについては基本的には「自分の言説に責任を持つ、と云う意識の薄い商売人が適当な意見を発して稼ごうとした」と云う以上のものではないし、この方については単純に「信用できない書き手」だ、と云うことなのだろう、と思うのだけれど、その同じ口でよく行政と業者の癒着とか云々できたもんだよなぁ、とか思う。

あ、あと。「科学的な主張についてその内容の正当性を証明する義務を負うのは、その主張を行った側である」と云う原則を踏まえない方が口にする科学的態度と云うことばの意味にもちょっと興味はあるかな。でもたぶん適当なことを云っているだけなんだろうな。