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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

真価

今週末はフィギュアスケート全日本選手権だけれど、開催を前に毎日.jpのフィギュアスケート:村主、今季で引退 第一線で15年「継続してこそ」と云う記事を読んだ。 村主さん引退かぁ。

去年の全日本選手権のときに書いたエントリで、全日本選手権が持つほかのどのフィギュアスケートの大会とも違う位置づけに触れた。ましてや今年はオリンピックイヤーで、こちらでも書いたけれどとりわけ重い意義を持つ大会になる。
そして村主章枝は、全日本選手権に強い(いま確認してみたら過去14回出場で表彰台11回、優勝5回。15年ものアマチュア生活を送るフィギュアスケート選手がそもそも稀だ、と云うことはあるにしても、なんて記録だ)。彼女の強靭な精神力と勝負強さが、全日本選手権では遺憾なく発揮される場合が多い。

今春、肋骨(ろっこつ)を骨折し、今でも時折体をかばってしまう。靴が合わず、体力作りが十分できなかった不安も抱える。

今季女子シングルのトップ選手で顕著な故障を抱えていないのは真央と鈴木さんのふたり。安藤美姫がいちぬけしたあとの2枚のオリンピック行き切符を奪い合う闘いに、ともに克己心を武器とする村主章枝中野友加里は、爆弾を抱えたまま飛び込んでいくことになる。

全日本選手権はその性格上多くの場合、素晴らしく、また一面恐ろしささえ感じさせるような苛烈な戦場になる。もちろんフィギュアスケートが勝敗を争うスポーツである以上これは当然のことなのだけれど、どうもこのことには複雑な気分にさせられる。
ただ、同時にこのことが全日本選手権の場で数多くの名演技を生んできた、と云うのも事実で。じつはここ数年村主さんの演技にはあまり納得が行かない感じがしていたのだけれど、全日本ではまたあの観るものの心をつかんで離さない演技を見せてくれるとうれしいなぁ。