Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

ステークホルダー

確かに変だぞ、考えてみると。

「キャスターってCMに出ていいの?」識者がみのもんたを袋だたき

すっごく簡単な仕組み。理解してみれば陰謀説でもなんでもない。

ある影響力のあるキャスターが、特定の企業のステークホルダーだった場合、情報番組や報道番組でその商品の悪口は絶対に云わない。逆に考えると、あるキャスターがある企業・ある業界の商品について自分の番組で賞賛した場合、その内容の真偽を判断するための材料は、そのキャスターとその企業・業界の間の利害関係だ。これはまぁ、当たり前。

で、この前提に準拠すれば、そのキャスターの発言そのものの信憑性を判断するひとつの目安が得られる訳だ。
CM等に出ることによって特定の企業・業界と利害関係を結んでいるキャスターの発言は、公平ではありえない。ありえない、のだ。なんて明解。

みのもんたの発言は、つねにその発言によって利益を得るもののためになされている。これは邪推でもなんでもない。だってステークホルダーなんだもの。
もちろんだからと云って、彼の発言がいつも嘘だ、と云うことにはならない。ならないけれど、完全に自由な立場で自らの見識に従ったものではありえないのだ。彼が特定の商品を褒めたら、彼はその商品に関わる企業からなんらかの利益を得ている、と考えてもいい。何しろ、彼は実際に「お金を貰ってメディア上で特定の企業の商品を褒める」ことを、CMと云う媒体で堂々としているのだから。そういうことを行って利益を得るのが、彼の職業なんだから。

昔ぼくは機関投資家として株式関係の仕事をしていた。当然ながらその頃は、個人として株を買うのは御法度だった。ぼくがある株式を自社で購入する、と判断すれば(もちろん決済権限を持っているほど偉くはなかったが、意思決定のための調査をする立場にはあった)、その株式には機関投資家レベルの買いが入る。同じ株を個人で買っておけば、間違いなく上がる訳だ。
これはモラルのレベルではなくて、インサイダー取引なので法的にも禁止されている。最近では村上某が逮捕された名目はこの規定に対する違反だ。でも、昔は禁止されていなかった。株式投資スペシャリストだった当時の上司は、かつてこの手法で相当額の蓄財が出来たらしい(重ねて云うが、当時は違法ではなかった)。
いま、メディア上で特定の企業の利益のために発言をすることも、その発言によって利益を得ることも、禁止されていない。違法ではない(これが違法だとテレビのビジネスモデルは成立しなくなる)。なんとなくその辺りにモラル上の規制があるような気がぼくもしていたけれど、事実上そんなものは存在しない。

気付かなかったが、すごく簡単な話だったんだ。
みのもんたの云うことを信じてもいい。もちろん。でも、それが公平な立場の発言ではありえない、視聴者の立場に立った発言ではありえないことを認識していないと、単なる事実として、その発言を信じた瞬間に騙されている、ってことだ。
なんかこんなひどく簡単なロジックに気付かなかった自分が信じられん。おいらも相当な馬鹿だな。やれやれ。