Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

誰のために

山形大学の城戸淳二教授のトンデモ本と云うエントリを読んだ。

トマトも牛乳もニワトリのたまごも
クラシック音楽の持つ
リズムが「ふるえ」となって、心地よいしげきを
あたえるのが大へん身の理由と言われているよ。

とまで説明してある。
こんな「エセ科学」を平気で子供に教える教材って有りえへんやろ。
小さな文字で注意書きしても、正当に判断できない親なら親自体もこの話を信じるに違いない。

城戸先生、この記事は、そう云うことを自分の子供たちに信じさせたいおとなのために掲載されたものだと思います。

エセ科学に関しては、「水にやさしい言葉を語りかけると氷になったときにきれいな結晶になり、罵詈雑言を浴びせると汚い結晶になる」有名な話があって、社会的な問題にまでなっているのに、この出版社はどういうつもりなのか。

以前こちらで触れた鹿野司さんのオカルトは大人の心の平安のためにあると云うエントリにあるように、出版社はこどもを持つ親御さんたちのニーズに応えて、このような記事を掲載しているのだと思います。ベネッセにお金を払ってくれるのは親御さんなので、ベネッセが考えるべきなのは細心の注意を払って教育雑誌にふさわしい正確な情報を提供することではなく、親御さんたちに都合のいい記事を掲載することです。
そしていま、多くの親御さん(そして教師)は、例えば「こどもたちの言葉遣いが綺麗になりさえすれば、『水からの伝言』が科学的事実であろうとなかろうと関係ない」と考えています。この記事は、そう云う親御さんたち、教師たちのニーズを満たすものです。

とにかく、ウチの娘には、証拠のないもの、証明できないものは鵜呑みにするな、と教えてある。

そのような家庭(あるいは教室)は、少数派になりつつあるのかもしれません。

だから、子供向けの教材は、細心の注意を払って監修して欲しい、と思うきょうこの頃なのである。

望むらくは思うだけではなく、科学教育に携わる著名な科学者のおひとりとして問題意識を持っていただいて、その旨を積極的に発信していただければうれしいなぁ、と思います。

って、こんなところで書いていても届かないよなぁ。