Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

日米対抗フィギュア'07

ちょっとだけ見た。ちょっとだけなので無責任な感想だけ。

いや、一番感銘を受けたのは浅田真央。いや、「浅田真央が凄い」なんてことはこの3年間ぐらいの間あちこちのブログで溢れていてわざわざ書くほどのことじゃない気もするけど、あんまりぼくは褒めたことがないはず。
と云うか、ぼくは去年確か「真央が本当に凄いのは、まだ伸びしろが期待できること」と書いた記憶がある。で、ぼくはそれが証明されたような気分でけっこういい気になっているところ。

もう、去年までの子供の演技じゃなくて。すらりとした体型や長い手足から醸し出される優雅さはもともと持ち合わせたものだったのだけれど、それはひとつひとつの美しい動作として切り出して見られるようなものだった。今年は違う。動作が「ひとの身体の動き」として柔らかくみっしりとした存在感を獲得し、それが演技のなかでひとつらなりの表現をかたちづくっている。

この表現力の高さは、ヨナ・キムに備わっていて、真央が持ち合わせていなかった最大のもの。と云うことは、もう真央には死角はないぞ。
くどいけれど、本当にトリノ・オリンピックに出さなくてよかった。あの頃の彼女から、こんなところにまで来るポテンシャルがあったんだから。
マスメディアに潰されずに、ここにまで到達できた真央を見ることが出来て、ぼくはとてもうれしい。

この辺り、今回初めて見たキャロライン・ジャンと比較すれば一目瞭然。テレビ局は真央とのライバルの構図を設定したがっているようだけれど、比べれば動きの質の違いははっきりしている。得意技なんかを設定してテレビ局はキャラクター化に必死なように見えるけど、それ以前に名古屋名物ジャンピング・ビーン系と云うか、要するに子供の演技。才能の萌芽はたくさん見えるけれど、それらがまだ成熟に届いていない。
まぁよその国の選手だから日本のマスメディアに潰されることはないだろうけど。

高橋大輔がエキシビジョンで披露した今年のショート・プログラムにもちょっとびっくり。なんだおい、こんなことできたのか、って感じ。これまでの芸風(芸風って云わないかもしれないけど)を保ったままこんな飛び道具みたいなプログラムもこなして、4回転も着実にこなすことができるんなら、もう本当に敵はプルシェンコだけじゃないのか。

で、安藤選手。とっぱなからすっ転んで脱臼した方の肩から壁に激突。おいおい大丈夫か、とか思ったけど、つれあいに云わせると「緒戦であんまり調子がいいと、ちょうどいいタイミングにピークを持ってくるのが難しいから、こんなもんでいい」らしい。そうなのか。
そんな訳で精彩を欠いて見えたけれど、でもまぁ、大会の種類が種類だし。ぼくの好きな「肚を据えて勝負に挑むときの肉食獣の笑顔」を見る楽しみはもう少し先まで期待しながらとっておこう。