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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

打楽器

久しぶりにガムランのCDを新規入手。

轟鳴と炸裂のガムラン

轟鳴と炸裂のガムラン

いや、ただ単にCDを買えるだけのおこづかいがなかなか貯まらなかった、ってだけなんですけどね。

ここで改めて云うまでもないけど、ガムランの楽団はほとんどが打楽器で構成されている。と云うかスリン(竹笛)とルバブ(胡弓、のような弦楽器)以外はみんな打楽器だ。太鼓、大小のゴング、大小のメタロフォン。旋律楽器もパーカッションも、みんな打楽器。

それでも、その打楽器がぞくぞくするような繊細な調べを奏でるのも、ガムランの魅力。それが抗いがたいような官能的な甘美さにまで到達する事もある。
でも、それでも本来はパーカッシヴな打楽器アンサンブルなのだ。

近代的なガムランの主流は、ゴン・クビャールだ。これはどちらかと云うと単純化された明解なリズムと抑揚が持ち味のスタイル(単純化された、と云うとかなり語弊があるけれど。明確なリズム構造の上に、とても複雑な技巧と綿密なオーケストレーションが乗せられている、と云う感じ。本家キューバ音楽と比較した際のサルサの明解さ、みたいな感じかな)。
以前も触れたけれど、日本で手に入る音源は大半がウブド周辺の、ある意味最初から鑑賞されるために結成された楽団のもの。でも、ゴン・クビャールはもともと北部バリに生まれたものらしい。前にも引用した永渕 康之氏の「バリ島」には、当時最新鋭のガムランであるゴン・クビャールのセットがたまたまウブドにあるのを見つけて若者たちが楽団を造ったのが、グヌン・サリの結成となった、と記載されている。北から来た最新スタイルだった訳だ。
このアルバムに収録されている楽団は、バリ北部の村のものだ。元祖と云うか、正調と云うか。

この演奏は凄まじい。嵐のようなリズム、と云うと安っぽく聞こえるけれど、しょっぱなからそれが叩き付けられる。情緒性はほとんど表面に出てこなくて、ひたすら演奏がドライヴしていく。
解説を見ると、両手持ちのシンバル(チェンチェン・グデ)が4セット入っているらしいので、それがこういった印象を強めているのかもしれない。なんとなくゴン・グデに近いニュアンスも感じ取れる。癒しは特にいらないけど、ガムランに「かどわかして」欲しい方にはお勧めできるかも。