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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

用途

《バリ》バリのガムラン2~ガムラン・スマル・パグリンガン

《バリ》バリのガムラン2~ガムラン・スマル・パグリンガン

ノンサッチのバリ音楽CDはいまのところ4枚が入手可能なようだ。
2枚持っているけれど、うちひとつがこれ。

リーフレットにも記載がないのだが、BALI thorough MediaのGBLさんの記事によると、この演奏は前に取り上げたグヌン・ジャティの約35年ほど昔の録音らしい。なるほど、いまジャケットを確認したら、確かにタガスと書いてある。プリアタン村タガスのスマル・プグリンガンと云うことは、同じ楽器で同じグループということだろう。とは云え、これは前に挙げた録音より少なくとも14年前、今から34年ほど前の録音と云うことになる。

だけど、ここで聞こえてくる楽器の音色のとびきりの甘美さは、変わらない。

先にリンクしたGBLさんはこの録音があまりお気に召さないようだ。確かに、空間的な奥行きがないし、リバーブも殆ど感じられない。全体に高音域の楽器が表に出ていて(それでもこのセットだときんきん響く訳ではないのが妙味なのだが)曲によってはカジャルなんか鳴ってるのかどうかもよく分からなかったりする。ヘッドフォンとかで聴けばゴンが鳴ってるのだって聞き分けられるんだけど。
でも、そのローファイさ加減が、必ずしも悪い、と云う気はしない。

バリガムランで癒される方がたくさんいらっしゃるらしい。正直ぼくにはよく分からない。なにか、一番大事なところに耳を塞いでいる、と云う気がする。でもまぁ、マリリン・マンソンで癒される人間もいるんだろうし、ひとの趣味にいちゃもんをつけるのはあまり推奨されるべきことではない。
でも、このアルバムなんかは、なんとなくそう云う用途にも向くような気がする。耳から入ってとろりと溶けて行くような音色と、抑揚の(比較的)フラットな演奏。おひるね向き、と云う気もする(これはやや褒め言葉)。入手しやすい価格帯でもあるし。
本当に「癒し」を受けている気分だけを味わいたいんだったら、バリ雑貨屋辺りでよく流れているドゥグンなんかを聴いた方がいいんだろうけどね。