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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

フィギュアスケート2015年グランプリファイナル

やはり織田のうつけの解説はいいなぁ。

最近まで一線で活躍していた選手ならではの正確な眼に人柄のあたたかさと優しさが加わって(荒川さんみたいに「根本的に他人にあまり関心がない」ひとでもないので)、聞いていて安心感がある。修造さんとの笑い飯みたいなダブルボケの掛け合いも悪くはないし。

で、そのうつけにジャンプミスのリカバリ失敗を指摘されるPチャン、って絵柄もなんかすごい。

Pチャンが(それほどスロースターターのイメージもないのに)どうにも冴えない。ひょっとすると今季はもう来季に向けての助走のシーズンとして割り切っているのかもしれないけれど、なんとなく、王者のオーラ、みたいなものがない。なんか、憎らしいほど優雅で強い、みたいな姿が見られないのはもどかしい。勝敗の話で云えば、今大会はSPの大ポカがなくても優勝はできなかった計算なのではあるけれど。

それほどまでにまぁ、今季の羽生結弦は強い、と云う話でもあるのだけど。グランプリファイナルの場で1位と2位が40点近い差、と云うのは本来あるべき姿ではない。とは云えプログラムをルールに合わせてチューニングした計算の勝利、と云う印象もないし、となるともうこれは総合力で突出している、と認めるしかない。

いま第一線の選手でこの水準をキャッチアップできるのはボーヤンだけで、あとはハビエルとテンくんが(すでにシーズン中ではあるけれど、ここから)どれくらいがんばって一皮むけるか、みたいなゲームに、すでに今年の男子シングルはなってしまった。

結弦にしたところで、リビング・レジェンドになってしまうのはまだ早すぎる気もするのだけれどなぁ。選手生命を生き急ぐ、と云うのも、似合ってはいるけれど。

宇野くんも、けして悪くはなかったはずなんだけどなぁ。

若い才能が経験のあるベテランを脅かす、と云う絵面は、女子では(もう新採点が採用されたすぐから)ずっと鮮明で。特に4季前にリーザがシニアに上がってからは毎年ロシアから「驚異の天才少女」が登場しているので、なんだかあらためて驚くのも間抜けな気がするけれど、でもやっぱりびっくり。一昔前は全日本選手権が「国際試合よりも厳しい国内選手権」みたいに云われてたけれど、いまや女子シングルのロシア選手権はそれどころじゃなさそう。

ルールが体重の軽い若い選手に向いている、と云うのはまぁあるんだろうし、ちょっと前のリーザ、いまならユーリャが体型変化の壁と戦うシチュエーションに遭遇している。エヴゲーニャ・メドベージェワ(愛称がロシアのツァーリとかぶるので、うむむ、どう表記したものやら)にもこれからそう云うタイミングが来るのかもしれないけれど、現時点では(体型までを含めて)あまりにも完成して見える。

そうして、それらの天才少女と較べると、やっぱり真央やアシュレイみたいなキャリアのある選手の演技はコクがあるし味わい深い。それでも、やっぱり勝てない。

このあたり女子だけの話ではないのだけれど、フィギュアスケートの競技としての難しさ、みたいなのはやっぱりあるのかなぁ。

それはそれとして、今季の宮原さんはすてきだなぁ、みたいに思うのでした。往年の由希奈はんを少し思いださせるようなたおやかさが出てきて、このへんはチームぶぶ漬けの伝統なのかも。