Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

魂、に似たもの

20110811_2106496.jpg無断で貼り付けてるので、怒られるかもしれないんだけど。(c)Ishimori Production Inc。 で、このシルエットがだれか、わかるひとも少なくない、と思う。そう、島村ジョー

まったく熱烈なファンとは云えないんだけど、世代的に石ノ森章太郎が自分にとって重要な存在じゃないと云えばまぁそれはうそになるんだと思う。なにか明示的な影響を受けた、と云うことはないんだけれど。

石ノ森章太郎は、数多くのヒーローを生み出した。その多くは、はじめから「裏切り者」として誕生している。みずからの出自(多くの場合それは「悪の組織」だ)を裏切り、おのれの望む闘いを選ぶ。そこには、どうしてもある蔭が立ちこめる。サイボーグ戦士たちも、同じ。
今回ひさしぶりに9人の戦鬼を思い出して、そのメンバーの構成の絶妙さに改めて唸った。異なった出自、異なった能力の組み合わせが、サイボーグ戦士の軸だ。万能型のジョーも、大火力のハインリヒも、ひとりだけではその力を発揮しきれない。イワンやギルモア博士、ピュンマの知性も、それだけではけしてすべてを完結させることはできない。本来は融合し得ないほどの異なったバックグラウンドを持つ9人の、すばらしいチーム。

さて、上に掲げた図案は、Tシャツの柄。このTシャツを制作し、販売するのは、うちの近所のJOHNNY SPADEって洋服屋。
なんと云うか、ぼくなんかみたいなバイカー系のカルチュアを持つ人間が好んで着るようなあんまり柄のよろしくない洋服をつくらせたら、ここの半澤さんはいまの仙台ではたぶんSAM'Sのオサムさんと双璧だろう、と思う。あんまりヒーロー、と云うイメージとは重ならない洋服屋。得意技はチカーノ的なモティーフ使いで、上の図案にもピンストライプ(Von dutchで有名。でも流行ったころはバックグラウンドへの理解がない連中ばかり身につけてたけど)の技法が控えめに使われている。

ちょっと考えると、とても似つかわしくない取り合わせ。正義のヒーローと、バッドテイストが売りの洋服屋。
でも。サイボーグ戦士たちがどんなチームだったのか、彼らがチームとして機能するために必要だったもの、乗り越えたものがなんだったのか、と云うことを考えると、これほど似つかわしい組み合わせはない、と思う。出自とカルチュアの異なる存在同士が、それゆえに手をたずさえること。その意味と意義。奥深く大事に抱かれた、魂、に似たもの。

ちなみにこのTシャツは石ノ森萬画館復興義援金のためのチャリティの一部。とは云え(そのひとの趣味にもよるけど)日常着て歩くのにこれほど抵抗感のないデザインのチャリティTシャツってのもそうそうないんじゃないか、みたいに思ったりもする。
サイボーグ009公式サイトの記事と、JOHNNY SPADEの該当ページに、ここからリンクしておきます。