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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

なんだか難しい

あちこちの新聞が、漁協の「水産特区」構想への反対決議を報道している(ここでは読売新聞の全漁連「水産特区」反対を決議…自民、共産もと云う記事にリンク)。

 宮城県の村井知事が「水産業復興特区」構想を持ち出して、地元の漁協ともめて、ってえのは5月頃からあった話で。まぁこのあたり、村井ちゃんってひとがどんなふうに考えるひとなのか、って云うのは、そもそも政治や地方自治に疎いぼくでも、宮城の新聞が掲載した宮城県って、そもそも何ですか?と云うインタビューを読むと見当がつく。よしあしはともかく、基本的に外からお金を持ってきて税収につなげるのが好きなひと。じり貧の地方自治体の長として、まぁひとつのスタンスではある。

でまぁそりゃ、宮城県の水産関連のインフラはもう壊滅と云っていい状況なので、とっととなんとかするためには元手がどっさり必要になるのはわかる。で、その元手を効率よく使って、とっとと税金が払えるだけの収益が上げられるようにするには、そりゃ民間の資本を導入するのが手っ取り早いに決まってる。
でも、それで誰が得をするのかな。いやぼくら宮城県民、特にぼくみたいに漁業をなりわいにしているわけではない輩は総体としては得をすることにはなるのだろうけど、民間の資本の効率の良さってのはその目的が純粋に富の獲得にあることから生まれているわけであって、基本的なスタンスとしては宮城県がどうなろうが知ったことじゃないわけで。結果的にお金は生んでも、それを復興と呼んでいいのかどうかよくわからないへんなスキームができあがってしまっている、みたいな事態に陥ったりもしそうな気がする。

思うように稼げなければとりあえず非合法と解釈されないあらゆる手段を使うだろうし、これ以上稼げないと判断すればいつでも撤退するだろう。まぁ企業も社会的存在なのでそうそうあこぎなことばかりできないってのもあるけど、どっちにしても資本の本質ってのはそう云うもので。そう云う種類の意思決定をすることにともなう抵抗感を軽減するのにも、すべてを計測可能にすることで強烈な脱臭効果をもたらすお金と云うものは役に立つ。

でもまぁ、まとまったお金がないとそもそも漁業の復興そのものがどれくらいのみちのりになるのかわからない部分はたしかにあるからなぁ。難しい。
ところでその裏に、こんなニュースもあったり。

病気で壊滅状態になったフランスの牡蠣が、松島をはじめとする三陸の稚貝によって復活した、ってのが有名な話なのかどうかは知らない(けどそのへんとちょっとでも関係のある場所にいる人間は知っている)。でも"France o-kaeshi"ってプロジェクト名はだれが付けたんだろ。
日本側でコーディネータをやっている齋藤浩昭ってひとは仙台で牡蠣のネットショップをやっているひとで、三陸牡蠣復興支援プロジェクトのファウンダー。まぁこう云う、ある意味脱出先がないひとが関わっている震災派生ビジネスってのは、別の部分で信頼が置けたりもするのだけれどね。