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Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

せんくら2010

音楽あれこれ

とりあえず金曜日から今日までは仙台クラシックフェスティバル2010なのだった。先月は定禅寺ジャズフェスで、来月はゴスフェス(これはまぁ多分観にいかないけど)。要はいまごろの仙台と云うのはそう云う土地なのだった。せんくらは例年観にいかなかったり、行っても1コマくらいだったりするんだけど、今年は昨日今日でなぜだか4コマも観に行ってしまった。

ご存知の方はご存知だけどぼくはクラシックにはほとんど造詣がない。ないけどこれだけ聴きに行きたくなったのは、半分くらいは今年がショパン・イヤーだったせいなんだろうと思う。でもって以下、ちょっと記録がてら。

とりあえずクラシックは音楽的本籍地から遠く離れているジャンルで。なのでそもそも広範な知識なんかは持ち合わせていなくて、ましてや日本人の音楽家なんかさっぱり知らない(つれあいに訊くといくらかは教えてくれたりはするけど)。なので結局、曲目だけで選択することになる。演奏を知っている音楽家はひとりもいない状態。けっこう無謀とも云えるんだけど、とりあえずそんな状態で土曜に2コマ、日曜に2コマずつ。でも、あてずっぽうにしてはわりといい線行っているセレクトだったかな。

10/2(土)

三浦友理枝(ピアノ)

ドビュッシーラヴェル、45分のステージにふさわしい小品。メシアンを2曲挟んで、メインディッシュはショパン前奏曲集第1集。事前にちょっとだけサイトとか見て、えらくまた綺麗なひとだなぁ、なるほどエイベックスかぁ、とか思って、予備知識はそれだけ。
角はないのに粒立ちのいい音で、曲の構造が聴いていてはっきりとわかる演奏。ショパンを聴きに行ったはずなのに、こう云う演奏だとラヴェルの「水の戯れ」がとても心地いい。音楽家としてのエゴはあんまり表に出てこない感じもあるんだけど、そう云う演奏だからこそメシアンもあまり難解に感じない(むしろ作曲家の意図がわかりやすく説明されている感じ)。いい意味で芸能人的な、こなれた立ち居振る舞いもあって、素人としては楽しい時間がもらえました。

小松亮太バンドネオン

まぁクラシックなのかどうか(どっちでもいい)。小松さん本人も「静かな客席ですねぇ。クラシックじゃないのに」とか云ってた。
バンドネオンにピアノにベース。タンゴの楽団としてはほぼ最小規模。そもそもタンゴってのはなぜだか聞き手をリラックスさせない、張りつめた空気を生み出す音楽なんだけど、そこを緩和するような小松さんの軽妙なしゃべくり。なんかしかし、ベースも独特なんだなぁタンゴって。

バンドネオンと云う楽器のしくみはさっぱりわからないのだけど、複数のリードを持つ楽器として共通点を持つハーモニカをいじくるぼくとしては、メロディの多くが「蛇腹を伸ばす」動作で奏でられていたのになんとなく納得(音のニュアンスのコントロールが可能な範囲が、「伸ばす」動きと「縮める」動きではたぶんだいぶ違うのだろう)。
ピアソラをお題目にしたリサイタルにも関わらず3曲だけで、あとはけっこうバリエーション豊かな選曲。最後のラ・クンパルシータでは客席から手拍子。ラデツキー行進曲じゃないんだから。

10/3(日)

福田進一(ギター)

村治香織のお師匠さん、と云う程度の予備情報だけでつれあいにくっついて観に行く。観に行ってその超絶技術に仰天。
なんと云うか、ポピュラーのギターに存在する技巧は、スパニッシュ・ギターにもだいたいみんな先行して存在するんだなぁ(まぁ、チョーキング以外は)。たぶんそう云う技術が駆使されている曲をCDで聴いたことは何度もあるんだろうけど、目の前で繰り広げられるとまた話が違う(フィンガーボードのうえで巻き弦を2本重ねてミュートしたうえで、それを右手で叩くことによってスネアの響きを再現する、なんてテクニックはじめて見た)。面白いおもしろい。

スパニッシュ・ギターと云うのがクラシックの楽器なのかどうかはなんとなく微妙な気が以前からしていたけれど、それをあらためて(ポジティブな意味で)感じたステージでした。

横山幸雄(ピアノ)

ショパコン3位、って経歴だけつれあいに教えてもらった(あとワイン好きでソムリエの資格を持ってる、みたいなどうでもいい情報だけ)。オールショパンの演目で、なかにソナタ3番が入っている、と云うだけのセレクト。

最初はソナタ2番。まずはそのたっぷりとした、豊穣な音色にびっくり。ぼくの保有する数少ないクラシックピアノのCDのなかでも、さらに多分半分ぐらいはポリーニで、ぼくはこのひとの磨いた真鍮を思わせるくっきりした明るい音色が大好きなのだけれど、横山さんはまったく違う。芯はあるのだけれどそこから柔らかく広がる音。気持ちがいい。
どこかおおらかで、しみじみとした哀しみを伝えてくるようなソナタ3番。楽しませてもらえました。

ひとコマ45分(一部60分)、1,000円(一部はもうすこしする)。なんかクラシックのデギュスタシオン、って感じでもあるけれど、まぁこう云う催しをやれているうちはまだ仙台もなんとかなるのかも、とか思いたいなぁ。