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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

ホメオパシーと日本助産師会

# 誤記があったためタイトルを修正しました。

和田みき子さんのホメオパシー問題についてと云うエントリを読んだ。このかたは助産師さんで、『1920年代の都市における巡回産婆事業――経済学者、猪間驥一の調査研究を通して――』 と云う論文で第4回河上肇賞の奨励賞を受賞してらっしゃるよう(なので昔の、いわゆる「自然なお産」の実情についても造詣の深いかたのよう)。

ここのところの朝日新聞を中心としたホメオパシー報道で、きっかけとなった(と云ってもいいと思う)助産師のみなさんとか助産師会がどう思ってるのかな、みたいには思っていたんだけど。

私自身はすでに開業をやめ、日本助産師会の会員でもないのですが、この問題は助産師全体の問題として受け止めており、東京都助産師会(この4月から法人化して、「日本助産師会東京都支部」から独立した組織となった)のトップにある人と、この間、意見交換をしてきました。
彼女も、ホメオパシーJPNの由井寅子会長の言動には以前より疑念を抱いていた人ですが、それでも私たちは、K2の代替薬が存在していることは知らず、ましてや、それを実際に使っている助産師がいることなど想像もしていませんでした。

日本助産師会と東京都助産師会は別の組織なんだ、とかもちろん知らなかったので、ちょっと東京都助産師会のサイトを見に行ってみる。トップページから「『新生児へのビタミンK2投与』に関して」と云うタイトルのPDFファイルにリンクが貼ってある。読んでみると、私達助産師は、「保健師助産師看護師法」に基づき、正常妊産婦及び新生児に対する助産やケアを業務としており、医師とは異なる役割や責務を有している面がありますが、母親等に説明をして同意を得た上での(インフォームド・コンセントのもとでの)ビタミンK2 の投与については、上記の事情にも鑑み、本会においても推奨致します。ときっちり書いてある。って、和田さんの助言によるものなのかもしれないけど、少なくとも日本助産師会の声明よりははるかに明解。

助産師会の会員だったとき、私は東京都の委託講習会を企画する委員会にいて、先月の初め亡くなった、ホメオパシーJPNが経営する学校の副校長をしているS助産師とは、よく顔を合わせていました。とても影響力のある人で、定例会では、ホメオパシーの話題に加わらないのは、私一人だったと思います。
マタニティ期にある人たちからしょっちゅう電話がかかってきて、切迫流産と思われる出血にレメディを処方している声が聞こえていました。
生れてきた赤ちゃんが呼吸しないとき嗅がせる、気付け薬のようなレメディを紹介したときには、自分も開業したら使いたいという声が、何人かの委員から上がっていました。

これは鴫原操氏のことでしょうね。って、定例会では、ホメオパシーの話題に加わらないのは、私一人だったと思いますって、いったいどれだけ浸透してるんだよ、って話だよなぁ。

インフルエンザに効くレメディがないかという質問に答えていたときの様子は、実は、このブログですでに書いています(ホメオパシーということばを使いませんでしたが、代替療法と書いたものは、すべてホメオパシーのことです)。

和田さんは去年の2月の時点で、聞こえてきた会話と云うエントリをお書きになっている。こちらのエントリに登場する開業助産師Bと云うのが、まぁ鴫原氏、と云うことになるんだろう。

私は一年目に、この会議で、一般的な予防接種の講演会を提案して却下されました。
二年目には少し工夫を凝らして、午前と午後で、予防接種の賛成派・反対派両方の意見を聞く企画案を提出したのですが、これも却下されていました。
そこで、別の場を設けて、日本助産師会東京都支部ではじめて、一般的な予防接種の講演会を実現させました(このことについてもブログに書いています)。これが私の助産師会における唯一の貢献だと思っています(この企画には、ホメオパシーJPNのレメディを使用している助産師、ホメオパシーJPN以外のホメオパシー団体に所属する助産師も加わっていたことは確認しておきたいと思います)。

これを読むかぎり、日本助産師会は予防接種否定派が主流だ、と云うふうに思えてしまう。まさか、とも思いたいけれども、どうなんだろう。

先日、日本助産師会で、臨時の理事会が開かれたそうです。上層部の何人かが、ホメオパシーJPNの由井会長を訪ねると、「ホメオパシーつぶしだから相手にしない」とものすごい剣幕で、肝腎なところでは黙秘権の行使だったようです。

これがほんとうだったらすごいな。いや由井会長が、って話じゃなくて、上層部の何人かが、ホメオパシーJPNの由井会長を訪ねるってあたりが。これがほんとなら、ホメオパシー・ジャパンと日本助産師会って、どう云う関係にあるんだろう、ってまぁ、次節で和田さんがお書きのとおりなんだろう、と云うことだけど。

しかし問題は、日本助産師会の態度だろうと思います。少なくとも、日本助産師会で、総務理事・安全対策委員という要職についているホメオパシーJPNのK助産師の解任または辞任は常識だろうと思うのですが、そんな話はまったく出なかったそうです(K助産師は、「ビタミンK2の使用は、法律で定められていないから、使わなくてもいい」と話しているとか)。

これは神谷整子氏のことですね。て云うか、「ビタミンK2の使用は、法律で定められていないから、使わなくてもいい」と話しているって、この期に及んで、ですか。

引用部分の最初にあるように和田さんは現在開業しているわけではないようなので、このエントリでお書きのこともだいぶ伝聞があるみたいだし、そのまままるごと受け止めていいのかどうか、はわからない(逆に、和田さんには現在直接の利害関係があるわけではないので、実情と違ったことを書く動機もない、とも云える)。でも、これが実情なのなら、乳児に対するK2レメディ使用問題に関する日本助産師会の(ちょっと不可解にも見える)対応も、なんとなく頷ける気もする。