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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

情報源

ゴッドマーさんの極東ブログ「サミュエル・ハーネマン(Samuel Hahnemann)」で思うことと云うエントリを読んだ。finalventさんが7月17日付であげてらっしゃるサミュエル・ハーネマン(Samuel Hahnemann)と云うエントリに言及したもの。

finalventさんがこのタイミングでこう云う内容のエントリをあげた意図はわからない。K2レメディによる乳児死亡に関する提訴(kikulogビタミンK問題: 助産院とホメオパシー[追記は随時あり]参照)とか、幼児の肝臓疾患に対するホメオパシーによる対処の問題(同ホメオパシーによる児童虐待の件[最初に追記あり]参照)に関係しているのかもしれない。まぁおそらくfinalventさんのことなのでそこになんらかのポリティカルな深謀遠慮はあるんだろうけど、例によってそのへんはわからないようになっているし、ここでそのエントリの内容についてあれこれ書いたりしたら、もとのエントリそのものになんらかの改変が施される可能性があるので、推測しても意味がない。
まぁそれはそれとして。

ホメオパシーに関して知っているといえば、松本にある信州大学医学部が食物アレルギーでの実験的な治療をしていて、効果を上げているということくらいだ。

ええっ、と思って知り合いの物知りのGoogleさんとかYahoo!さんとかに訊いてみたが、わからない。まったく情報が出てこない。医学部付属病院の先端医療推進センターで免疫療法を推進しているらしいことはわかったけど、これはどう考えてもホメオパシーではない。

信大の例は、生まれながらにして特定の食物に反応する子どものホメオパシーによる治療の例だった。
 強いアレルギー反応を示す食べ物をあえて少しずつ摂取し、実際にアレルギー反応を起こさせながら抗体をつけるという治療法だ。

あぁ、この方、この治療法がホメオパシーだとお思いなのかもしれない。つまり、じっさいにホメオパシーで用いられるレメディは、もとの物質(強いアレルギー反応を示す食べ物とか)が1分子も含まれていないくらい希釈されているものであること、その希釈そのものをもっとも重要な原理としていること、をご存じないわけだ。そう云えばこのかたが言及しているfinalventさんのエントリでも(どんな意図がそこにあるのかは知らないけど)この原理には触れられていない。

現代の医療で、このホメオパシーが通用しているということは、歴史に勇気ある人達がいて、それを実証してきたからこそなのだと思った。

現状を鑑みればこの認識は逆で、現在このホメオパシーが通用すると考えているひとたちのかなりの部分は、現代の医療において効果がない、として棄却されているホメオパシーを、その効果を証明する努力を怠ったまま通用させようとしている状況にある(それをして勇気と呼ぶのかどうか、はぼくには疑問に思える)。

ホメオパシーも一つの治療法だと思ったが、例えばこれが不治の病である難病や癌治療に効果を見るとしたら、是非治療して欲しい人が一人いる。

もしこのゴッドマーさんの善意が、その是非治療して欲しい人の健康にあだをなすようなことにつながったとしたら、これほど悲しいことはない、と思う。finalventさんのエントリの内容は内容として、たとえばじっさいの行動に出られる前に、代替医療のトリックなんかをご一読いただくことができたらなぁ、みたいに感じる。