責任の所在
こちらで触れた、ビタミンK2シロップの代わりにK2レメディを与えられて結果として死亡した赤ちゃんのご両親が、助産師を提訴したらしい。ひとまずYahoo!ニュース(ソースは読売新聞)のビタミンK不投与で乳児死亡…母親が助産師提訴と云う記事にリンクする。
で、すこしだけ、ホメオパスやホメオパシー信奉者の方々がこの事件をどのように受け止めているのか、みたいなのを見てみた。まぁリアルタイムで反応されているかたもそうはいないし、触れてもあんまり得する話題でもないだろうからそれほどの反響は見られない。
クラシカル・ホメオパスのくらもと ゆうこさんはあってはならないことと云うエントリで、ご自分の出産体験を交えて触れていらっしゃる。
以前、誰かからの話か、何かの本で読んだ気がするのですが、ビタミンKのかわりにレメディを飲ませるという話は知っていました。
でも、もともと体内に足りていない状態で、ましてや体内で合成ができないものを、成分の入っていないレメディで対応できるのかは非常に疑問でしたし、危険だと思っていました。
まぁ、このかたはそう考えていらっしゃった、と云うことのようだけど、ホメオパス一般の認識はどうなんだろうか。
助産士がホメオパスって結構厳しい時があるんじゃないかと思ってます。
というのも、絶対反対というわけではないんですが、妊婦に選択の自由をちゃんと与えてくれているのかが気になります。
これはとても微妙な部分で、と云うのは亡くなったのはおかあさんではなく、赤ちゃんだから。
赤ちゃんは自分でK2シロップを使うか、レメディを使うかは選べない。だからおかあさん(おとうさんも、だけど)が代わりに選択する場合があるだろう。でも(今回の件については)結果は同じ。たんに助産師の責任が、両親の責任に転移するだけ。
この件については助産師が独断でやったことなので、すべての責任はホメオパシーを信奉していた助産師にある、と云うことになるだろう。でもご両親に選択の余地があった場合には、それは単純に両親の責任に帰されておわり、と云う話なのだろうか。必要な措置をさまたげる結果となった代替医療であるホメオパシーが、現にどのように運用されているのか、どのような品質の施療を提供しているのか、と云う部分は論点にならないのだろうか(いや、このかたは赤ちゃんにK2レメディを飲ませる、なんてことはしないと思うけれどね。だから、ご同業のみなさんが、と云う話になるかもしれないけれど)。
ホメオパシーがどうのこうの以前の問題もはらんでいるように思いました。
でも、これでホメオパシーのバッシングは激しくなるのでしょうね(ヤフーのトップのニュースに出たぐらいなので)。
このホメオパシーがどうのこうの以前の問題
と云うのがどう云うことなのかちょっとわからないので訊いてみたいところだけれども(必要なシロップの代わりにレメディが用いられたことが死因となったのだから、ことはホメオパシーの問題であることは間違いない)、代替医療を用いたことによって死者が出た以上その代替医療手法がそれなりの風当たりにさらされるのはしかたがないことだろうし、統一された運用基準がない以上「あのひとのホメオパシーは間違っている(わたしのホメオパシーは正しいのだけれど)」みたいなことを云ってもちゃんととりあってもらうのは難しいと思う。
よっちゃん@兵庫さんは×レメディーでの死亡例と云うエントリをお書きになっている。このかたはホメオパスではない模様。
ホメオパシーは、本来は親又は本人の同意なしに、ましてやお薬代わりに使うのは、元々禁止されているはずなのです
誰が禁止してるの?
全て自己責任ですから
自己責任
って、誰の? ひょっとして、亡くなった赤ちゃんの?
今回は、本人は赤ちゃんですから、親の特に理由がある強い希望がなければ、やはりビタミンK2は与えるべきだと思います
よくわからないけど(ぼくはちょっと感情的に混乱してるかも)親の特に理由がある強い希望
とやらがあれば、赤ちゃんは亡くなってもしかたがなかった、と云う話なのかな。そんなことあるか、みたいにぼくなんか思うけどな。
但し、ビタミンK2を与えて何かしらが起こったとしても、それはニュースにはなりませんよね
今回は、ビタミンK2を与えなかったから問題になりましたが
だって、ビタミンK2を与えなかったから
赤ちゃんは亡くなったんだよ。そして、どんな医師でも助産師でも、おなじように共有可能な根拠を持たない医療手法を用いて赤ちゃんを死なせたりしたら、もちろん問題視されるんだよ(報道もされるだろうし)。そこに自己責任
なんてエクスキューズは通用しないんだよ。
ちなみにこの件についてはどらねこさんがさすがの手際でなぜ助産師がビタミンK投与を怠ったのかと云うエントリをあげていらっしゃる。kikulogでもビタミンK問題: 助産院とホメオパシーと云うタイトルでエントリされています。