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Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

問題点の概観

よしなしごと

けっこう古い記事だけれども。

某氏のブクマ経由で、毎日新聞まいまいクラブ「記者の目・読者の目」に2006年04月19日付で掲載された、石田宗久記者による代替医療は玉石混交と云う記事を読んだ。この記事には、代替医療が直近で引き起こしうる問題点が実例を引きながら簡潔にまとめられている。
事態は4年後のいまもあまり変わっていない。

新聞社も一枚岩ではないので、おなじ新聞が適切な内容の記事もトンデモな記事も発信する。そんなことはだれでもだいたいわかっているので、偽科学批判は市民運動だし、市民運動は基本的に左派なので朝日批判はしづらいとか云うようなことはない。

鍼灸や漢方のように長い歴史がある療法や、「治る」という暗示によるプラシーボ(偽薬)効果で症状が改善するものもあるが、実態は玉石混交だ。患者を食い物にしていても検証する仕組みが十分でなく、事実上、野放しと言える。

その意味でまぁ、国が代替医療を検証していく、と云うこと自体はいいことなんだろうなぁ、と思うわけなんだけれど。

大分県で死亡した女性は、昨年3月末からゴマや玄米を食べる食事療法の合宿に参加していた。食事や水分を十分に与えられずに体重が10キロ減少、自力歩行ができないほど体調を崩したのに放置され、昨年4月上旬に急性肺炎で死亡した。自称治療師は、取材に対し「私に責任はない」と話し、逮捕直前まで「診療」を続けていた。

結局のところ(こちらで書いたようなことでもあるけれど)もし望ましからぬ結果に至った場合、だれがなににもとづいてどうやって責任をとるのか、と云うのが大きなポイントだ、と思う。

福岡市の歯科医は「万病の原因は歯にある」と主張し現代医学を非難。一般の歯科で使われる金属は有害だとして取り除き、「独自開発」という触れ込みの金合金と交換してかみ合わせを調整する「歯臓(はぞう)治療」で全身疾患を治すと豪語する。

書いたことはないけれど、じつは歯科医と云うのは意外ときわどい代替医療に親和性をもつひとが多いんじゃないのか、みたいな心証をぼくは以前から持っていて。

患者の苦情を受けて福岡市は「説明が不十分だ」として歯科医を医療法に基づき指導したが、歯科医は自身を、地動説で弾圧されたガリレオに例えて治療を続けている。

ガリレオだのヴェゲナーだの云い出したら要注意、ってこれは単なる個人的な経験則だけどね。

ともに講演や著書で自説を披露していて、全国から患者が集まっている。

最近では出版物について謝礼金つきで書評を募ってバズの拡大を狙う、なんて手法もありますね。あとスパムを飛ばして誘導したりとか。

魅力的な体験談だけが多数紹介されるが、自然に治る人もいるはずだし、プラシーボの過大評価の可能性もあるとみられている。

ここの部分だけでも理解が普及すれば、へんな議論は減るんだけどなぁ。

ストレス性疾患などに良心的な代替医療を施す人がいる一方で、科学や通常医療の限界を批判して患者を不安に陥れる人もいる。その結果、患者は適切な治療を受ける機会を逃し、お金や健康だけでなく、最悪の場合は命も失う。

命も失うような事態に陥った場合でも、責任を追う負うことを注意深く避けていたりするわけだしね。「信じるかどうかは信じるひとの自由、でも信じなきゃ効かないよ」みたいな言説を弄して。

通常の医療に代替医療を組み合わせた「統合医療」や、「癒やし」など患者勧誘のための響きの良い言葉に酔ってはいられない。

ここに「自然」と云うことばも追加したいな。死ぬほうが自然、と云うような状態に陥った場合に、どうふるまうか、と云うことでもあるし。

医療は、心身の健康と生命に直結する。「医療消費者」としての目利きと判断力を持ちたい。今、行政には代替医療の質を検証する権限も能力もない。患者の保護、救済制度を整える時が来ていると強く感じる。

いや、やるみたいですけどねどうやら。

ただ、けして余裕のある状態でやるわけじゃないので、事前にちゃんと筋のいいものと悪いものは仕分けしてからやってもらわないと困るわけで。漢方薬ホメオパシーをおなじ「代替医療」としてごっちゃに扱うようなことがあったら、それこそ「税金返せ」系のお話になっちゃうので。