Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

Passed away

asahi.comのローカル版に掲載された「あべひげ」店主、別れの新年会/仙台と云う記事を読んだ。

いや、あべひげのおっさんが死んだこと自体はつれあいに聞いて知っていたんだけど。

おっさん、とか親しげに呼んでいるけれど、べつだんよく知っているわけじゃない。「あべひげ」も店の場所は知っていたけれど入ったことはなくて。あべひげ本人についての記憶は大昔、ラブミー牧場に彼がいたころのもの。ぼくが高校生ぐらいのころ、菊池誠あたりの年上の友人がけっこう使っていた居酒屋。

時効だと思うから書くけれど、大学受験がともかく終わって入学までのあいだ、すっかりおとなのつもりになったぼくは同級生と連れ立って仙台の街の中をうろうろと呑み歩いたりしていて。ラブミー牧場もそのなかのひとつ。で、当時そこにいたあべひげのおっさんにアーリータイムズのボトルを出してもらったのをあいまいに覚えている(ローハイドだったかも。かっこわりい)。

大学を出てからのぼくは仙台を離れたり戻ったりで、そのあいだに細横丁の「あべひげ」が在仙の演劇関係者やミュージシャンのたまり場になっていたのは知っていた。知っていたけれど演劇関係者でもミュージシャンでもないぼくは店に近寄るでもなく、入る機会も訪れず。いまとなってはいくらか残念にも思う。

仙台を拠点に活動する俳優渡部ギュウさん(45)は、店の隣のビルを紹介され、仲間とともに2年前に俳優養成所を開いた。

渡部ギュウさんってのは十月劇場の看板役者だった米澤牛だよなぁ(云うことがいちいち古い)。もともと細かったローカルの演劇シーンとの糸がほとんど切れてしまって長いので、もはやまるきりだれがどんなことをやっているのかわからなくなってしまっている。隣のビル、ってのは白鳥ビルだよな、でもあらためて紹介されって書いてるから違うのかもしれないな、とか思ってちょっと調べてみると、白鳥ホールでは3年くらい前まで、20年ばかり演劇の公演は実施されてなかったのね。おいら化石か。

なんでもかんでも昔を懐かしむのはくだらないと思っている。古いものがなくなっていくのも、古いひとが去っていくのもあたりまえ。
さはさりながら。ひとにもものにも、なにかしらを象徴するような意味が染み付くことはやっぱりあるのだった。