Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

フィギュアスケート2009年フランス杯

今年も開幕。

日本人は3人が登場。地上波放送はほとんど男女シングルだけ。

しかし現在(と云うか大会前の時点で)世界ランキング1位は、女子がカロリーナなのはまぁ納得するとして、男子はトマシュ"勇名トラ”ベルネルだったのだなぁ。いやトマシュだってずっと一線でたたかって来ている選手なので意外がったりするのも失礼なんだけど、でもなんか「エキシビジョンがやりたいがためにあちこちの大会に出てたらポイントが稼げてしまった」的なストーリィを想像したくなるな彼の場合。

そのトラ、頑張りました。なんだか歯車狂いまくりのブライアンを尻目に、見事なクァッドを見せてくれた。なんかこのひと、一流「群」のひとり、みたいなポジションにずっといるんだけど、この面子の大会で調子がよければこれくらいの位置にいて当然、ではあるのだよなぁ。

で、そのトラを抑えて優勝したのが織田のうつけ。

大輔をその剛毅さで、小塚くんを端正さで評するなら、織田くんに冠される形容は柔らかさとか優雅さ、になるんだと思う。でも今期はそこに、これまであまり見られなかった力強さ、みたいなものが加わっている(とくにショートプログラム)。相変わらず猫のごときランディングも健在で、いろいろあったけどやっぱり世界トップの一角なんだなぁ、と云うのをちゃんと説得力を持って見せつけてくれた。

ただ、やっぱりクァッドは必要だと思う(ように去年からぼくは宗旨替えした)。

女子は優勝者と2位の点差が40点近く、と云う凄い結果だったのだけれど、じっさいに見れば確かにまぁ仕方ないかな、と思わせる部分はあった。

と云うか、どうして例年キムさんは初戦からここまで仕上げてくることができるんだろう。完成度にここまでの差があれば、点数面ではともかく順位についてはもう異論の余地はない。もともと彼女はぼくの好みのスケーターではあって、彼女に限らずぼくは「氷上美人」とも云うべきタイプの選手は好きなんだけど(鈴木さんとか引退しちゃった太田さんとか、ですね)、その意味でも相変わらず完璧。と云うか彼女は毎年衣装のセンスが見事だよなぁ(おしゃれだ、とかじゃなく、スタイルを綺麗に見せる、と云う意味で)。

ジャンは、まぁ、去年までとはすっかり別人ですね。そう云う年代とは云え、これほど身体的成長が如実に出るとちょっとたじろぐ。そのぶんジャンプがちょっと重ったるくなったかな、と云う感じが多少。カロリーナはなんと云うか見ていて辛くなるような演技だったけど、例年シーズン初めはこんなものと云えばこんなものかも。

シーズン初め、と云う話をすれば、去年も真央はこれくらいの時期は苦しんでたよなぁ、で結局そこからちゃんと脱却できないままシーズンが終わっちゃったんだよなぁ、とか思ったり。正直いまの演技の完成度だと、今年はこれをやりたい、みたいなのがよくわからない。で、初戦だからとか云ってるとあとから意外にシーズンが短くて慌てる、みたいな感じに(見てるほうとしては)なったりするんだよなぁ。うむむ。

そのへん逆に今季有終の美的なテーマを背負っている中野さんは明快。点数はともかくまずできることとやりたいことを全部やる、みたいな感じ。これはこれで好ましいんだけど、怪我のせいもあってかちょっと随所に「ファイティングゆかりん」が顔を出していたような印象もあって、そこは微妙かなぁ、みたいにも思う。それなりに波のある選手なんで、シーズンが進んで行けば余裕もできてくる、みたいなあたりをそんなに能天気に期待できるわけでもないんだけど、まぁそこは待ってみて、かな。

さて来週はロシア杯。安藤美姫小塚崇彦が登場、そしてジェーニャ復活(予定)。どうなるか。