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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

マーケット

コナさんの水は音楽を聴いていると云うエントリを読んだ。

江本勝氏の各種言説の内容で、ぼくの場所からいちばん許容しがたいのは表現やコミュニケーションに関連する言及の粗雑さ。言語についてとか、各種の表現行為についてとか。

音楽によって全く別の結晶が作られるというのが驚きだし、面白い。
有名な「別れの曲」の結晶は見事に別れていました。
中には日本のヒット曲なども載っていて、見ているだけでも楽しいです。

ショパンはOp.10のエチュードの3番に「別れの曲」などと云うタイトルをつけていないし、離別を表現した楽想でもない。この曲が日本で(のみ)「別れの曲」と云う通称で呼ばれているのは、ショパンを主人公にした映画であるLa Chanson De L'adieu(日本題が直訳で「別れの曲」。ただしドイツ映画)のなかで使われていたからで、曲とは関係ない。
もっともこんなことふつうは知らない(ぼくは学生時代にショパン好きの友人とこの映画を見ているのでたまたま知っているけど)。なのでばらばらに分かれた氷の写真を見せて、「『別れの曲』を聴かせたらこんなんなっちゃいましたー」とか云うとひっかかってしまうひとがでてくるのもわかる。「ショパンがこの曲に込めた『別れの気持ち』の波動が伝わって云々」みたいな理屈で。

ただ実際のところ、波動が伝わろうがどうしようがこの曲を聴かされた水のほうには分かれた結晶になってあげる理屈はない(曲の中に『別れ』の波動なんかあるわけないんだから。作曲者も演奏者もそんなものをこめてない)。音楽好き(とくにショパンのファン)だったらそのへんのことを知らないはずもないだろうし、納得することもないだろう。
そうすると、江本氏のこの種の言説はこのロジックを受け入れる層をターゲットとしている、と云うふうに考えられる。それがどう云う層なのか、と云うことはまぁちょっと措くとしても、ちょっと前のエントリで触れた船井幸雄氏周辺のビジネスのマーケット、と云うのに重なるようにも思える。

コナさんはエントリ後半でバッチレメディらしきものに触れている。

「波動」についても書かれているので、
フラワーエッセンスにも関連していてためになります。

バッチレメディはホメオパシーの派生商品みたいなもので、コスメティックショップのようなところでも販売している。ホメオパシーのように通常の医療を否定する要素がないようなのでまぁ比較的問題はないかな、みたいに認識していたのだけれど(文字通りおまじないみたいなもんだし)、結局のところしくみは同じなので、マーケットは共有しているのかなぁ、みたいに感じる。