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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

Save Lives

YOMIURI ONLINE静かなHV車、事故防止へ「昼も点灯」運動と云う記事を読んだ。 

音が静かなハイブリッド車などの事故防止につなげようと、福島県警郡山署は15日から、昼間のライト点灯運動を始める。

ある種のバイク乗りのあいだでは、けっこう古くから"Loud Pipes Save Lives"と云う標語があって。なにもしなくても相対的にけたたましい乗り物であるオートバイをさらにけたたましくして走らせる種類の連中(みたいに他人事みたいに書いてるけど)が自己弁護で、もちろんなかば以上ジョークで口にすることば。

でも、そこにシリアスな意味合いがまったくないわけじゃなくて。四輪車と違って二輪車の場合は、基本的に加害=被害、と云うことになるし、逆に云うと身を守ることと他者を守ることがおなじ行動になる。そもそも四輪者に較べて見えづらい、発見されづらいので、騒がしい排気管をつけるにあたっても(めちゃめちゃ苦しいけれど)言い訳は準備できる。

まぁ、そう云う連中は特殊な例としても(みたいに他人事のように書くけれど)、もう10年以上前から、国内のバイクには販売している状態でヘッドライトのスイッチはついていない。常時点燈があたりまえになっている(ライトオフにできない)。まぁもちろん、バイク乗りにとっていちばん危険なのは(相手が歩行者であれ四輪車であれ)「発見されていない」と云う状態なので、要するに自分の身を守る(=相手の身を守る)手段として、ふつうのこと。

四輪車の場合は、多少事情が違ってくる。加害を防ぐことと被害を防ぐことが直結しない。いや、加害にしても被害にしても安全運転が最良の対策なのだけれど、自分の安全に直結しない以上、他者の安全を守る、と云う部分でのドライバーの意識は自然と相対的に薄くなる。
自動車に搭載される安全装備は、基本的に乗っている人間の安全を守るためのもので(そうじゃないと商品としての訴求力を高める効果が見込めない)。安全な車、と云うのは、その車を運転していない立場からするとそのぶんだけ危険な車、と云うことになる。

以前バイク乗りの友人と、事故を起こした場合に搭乗者が確実に死亡するように車を作れば交通事故は相当減るだろうな、と云う話をしたことがある。まぁたいていの場合、殺される側になるから云える冗談。
たぶん、「殺さずにすむから昼間もライトを点燈しましょう」と云うロジックだと、そんなに訴求力はないだろうな。せっかくバッテリーにたまった電機を使うことにもなるし。
やっぱりこう云うことを普及させるにはマーケティングが必要で。昼間点燈はお洒落だとか、ロハスだとか、エコだとか。あるいは法的規制をするか。どちらにしてもなんとなくいやな感じだけど。

そう云えば先月のWired Visionの記事に、静かすぎるハイブリッド車の危険と、音を出すシステム(動画)と云う記事が載っていたのを思い出した。

このシステムに適した音を見つけるために、彼らは心理音響学の研究者と共同で、さまざまな音の候補——馬のひづめの音から、映画『スター・ウォーズ』の効果音まで——を検討した。結局、歩行者が好むのはガソリン・エンジンの音だということがわかった。

好むって、そう云う話なのか。そう云う話なのかもしれないなぁ。うむむ。