Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

伝えたいのなら

apjさんのニセ科学へのただ乗りという逆の状況、あるいは紛らわしくしたことの責任と云うエントリを読んで、そう云えば太田成男教授の水素水の話については瀬名秀明さんが気にしていたなぁ、とか思って見に行ったら(このときに書いたエントリはこちら)、引き続き「一般の皆様へ」研究室のスタンスを伝える 【水素水その5】と云うエントリがあがっていた。去年の11月のエントリなので、いまさらかもしれないけど。

 ウェブページが読みにくい、情報が分かりにくい、という場合は、どんどん読者が当該ページの担当者へ直接要望を出し、よりよいウェブページ作成へ向けて双方で努力してゆけばよいと思います。

違うでしょそれ。

これ、以前のぼくのエントリのコメント欄で、水素研究会のサイトのデザインについてOSATOさんと交わした会話を念頭においてお書きになっている文章だと思う。ここでぼくはOSATOさんに対するレスで、

端的に云うと、

・地の色と文字色がコントラスト的に読みづらい

ハイパーリンクテキストと地のテキストが判別できない

の2点が問題です。読んでもらいたければしないだろう、と思われるようなデザインミス。

と書いている。

注記:2009-01-09 11:58のA-WINGさんのご指摘にあるとおり、以下はJavaScriptを切った状態でのサイトのヴィジュアルについて記述している(ぼくは通常 FireFox+NoScriptの環境でブラウジングをしているため、気付かなかった)。JavaScriptをonにすることでリンクテキストと通常のテキストは判別されるし、メニューも表示される。この部分、不注意かつ不充分な記述となっていることをお詫びします。
ただし、JavaScriptをonにしなければふつうに使用できず、切っている人間にその旨がいっさい通知されないサイトと云うものの是非についても、同種の議論は成立するものと考えます。

正直云って、このデザインではトップページ以下のページの存在に気付かない。
トップページにメニュー・ナビゲーション(らしく見えるもの)が存在せず、下層ページへのリンクは新着情報からのみ。この新着情報のリンクテキストと地のテキストの文字色が同じで、リンクテキストであることを示すヴィジュアルな要素がいっさいないので、まず視覚的に判別できない。そのうえ新着情報の最初にあがっている水素研究会のホームページをリニューアルしました。のテキストがクリッカブルになっていないので、以降の新着情報がじつはクリッカブルで、そこから下に下層ページが存在することになおさら気付かない。

ちょっとこう云う書き方もどうかと思うけれど、このサイトにおいて一般的なサイトと同水準の効率で情報取得ができるのは、読み上げソフトを使い慣れた、視力にハンディキャップをお持ちの方だけだと思う。
読んで欲しいんじゃないのかな? 読んでもらわないと困る情報を、ネットを通じて発信してるんじゃないんだろうか。どんどん読者が当該ページの担当者へ直接要望を出し、よりよいウェブページ作成へ向けて双方で努力してゆけばよいなんて呑気なことを云ってる場合なんだったら、それは情報発信についてそれほど必然性を感じていない、とぼくなら判断する(おまえがまず要望を出せよ、と云うのは、なし。知らない人間に連絡を取る心理的障壁はぼくにとっても低くないし、だいいち知らない人間からのそう云う要望は情報発信の重要性を意識していない相手には単なる嫌がらせと受け止められるリスクがある。ちょうどこの文章がそうとう高い確率で、瀬名さんに単なる嫌がらせとしか受け止めてもらえないリスクがあるのと同じように)。

だれも「読みづらいからなんとかしろ」なんて云ってるんじゃない。読んでもらいたいんだったらそう云うところを気にしなきゃだめだよ、って云ってるだけで。関心のあるひとに読んでもらえればいい、って話じゃないでしょ。関心のないひとの目にも留まって、情報を伝える必要があるんじゃないのか。そりゃ、ぼくにとっては関心のない話題でもないので探して読むよ。でもだれかの気を悪くするリスクをとってまでわざわざご注進に及ぶ動機はない。

言及している瀬名さんのエントリには、太田教授の研究室ウェブサイト「一般の皆様へ」と云うタイトルで誤解を解くためのページが追加されていることにも触れられている。

 日本医科大学の太田成男先生から、ご自身の研究室のウェブページに「一般の皆様へ」という文章を掲載したとのご連絡をいただきました。
 トップページから「一般の皆様へ」をクリックすることで誰でも閲覧できます。
 →フレームなどを介さず直接読むにはこちら

瀬名さんご本人もうすうす気付かれているのではないかと思うので書いちゃうのはちょっと申し訳ない気がするけど、これもだめ。

まずフレームページである時点でだめ。サーチエンジンから見に来る人間を無視している。太田教授のサイトにたどり着けない(事前知識として知らない)人間には、情報を提供するつもりがない、と云っているのと同然。
端的に云って、サーチエンジンからこの「一般の皆様へ」と云うページにたどり着いたひとは、いったいこれがどこに置かれた誰のサイトなのか分からない。ページタイトルを見てもGeneralnews Pageとしか書いてない。ホームへの戻りリンクもない。そりゃURL削ればホームにたどり着いて誰のサイトか確かめられるけど、それだけの手間をかけないとこのページはそもそもいったい誰の発言が掲載されたものなのかさえわからない(だから書かれたことを信用すべきなのかどうか、読み手には伝わらない。主語がわからないのだから)。

産学連携でお金をもらってるんでしょ? そこでもらってる金額からするとちゃんとしたプロのウェブ業者にウェブサイト構築を頼む費用なんてわずかなものだと思うけど。そんなところをけちって、いちばん安価な情報伝達手段さえおろそかにするのはどうか。 上でリンクしたエントリでapjさんは、

 太田教授がしていることは、
・まっとうな研究の成果と製品の間に関連があるとついつい思ってしまうような紛らわしい顧問関係を作ったこと
活性水素が作った健康に良いというニセのイメージに乗っかる形で、紛らわしい商売に荷担していること である。つまり、紛らわしさを発生させている責任はある、ということである。勿論違法ではないし、研究プロセスに違反があるわけでもない。紛らわしさだけである。

 マルチ商法なら、普通の商売人はマルチのような問題のある商法と混同されるような紛らわしいことは避けるもの、という議論が既にある。しかし、今回の太田教授のしていることについて、「紛らわしいことは避けるべき」と言っていいのかが微妙である。

とお書きになっている。
でも正直ぼくからすると、発生している紛らわしさについて本気で困っているようには思えない。上記のような理由で。
あと、ぼくの上掲のエントリをお読みになったらしい瀬名さんも同様。現に、問題点は直っていないのだから。もちろん太田教授や瀬名さんの勝手だし、その意味では完全に余計なお世話だけどね。

9 Jan.'09追記: 自分の以前のエントリへのリンクを張り忘れていたので追加しました。