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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

表明とメディア、もしくは「ネットに放つ」意味

apjさんのニセ科学フォーラムと云うエントリに、懇親会とのお話として水素水を研究されている日本医大の太田成男教授との対話が掲載されている。

(後述するけれど)太田教授の水素水研究はどうにも誤解されがちな状況にあることだけは知っていた。なんとなくこちらで書いた、大橋力氏の「ハイパーソニックエフェクト」に似た状況に置かれてるのかな、みたいな漠然とした認識。

太田教授は、あまりにヒドイ水素水宣伝には内容証明でクレームを送ったり、「実験医学」という雑誌に、その手の宣伝と研究は関係ないと書いたりしているということだった。これは、私も今日ご本人から聞いて初めて知った。しかし、太田教授がそのような対応をとっていることは、ネット検索でも出てこないために、今のままではわけわからん業者の宣伝を容認しているように見えてしまっていることも確かである。

実はこのあたりは瀬名秀明さんがだいぶ気にされていて、今年の8月以降いくつかエントリをお書きになっている。ぼくがなんとなく問題(にはまだなってないのかもしれないけど)の所在を認識していたのも、そちらを読んでいたから。以下列挙。

apjさんはエントリのなかで、

仮に私が太田教授と同じ立場になったら、論文が新聞記事になったら、ほぼ同時にblogでも研究室webサイトででも、ヒトの健康にいいという宣伝の根拠になるようなものではない、と釘を刺すと思う。しかし、ご自身でクレームを出す状態になっていても、ウェブ書いて効果があるのかと疑問を持っておられたことから、太田教授は、ネットでの情報発信や情報の伝達については不慣れというか十分な実感を持っておられないのかな、という印象を受けた。

とお書きになっている。このことに関して、瀬名さんは上に列挙したなかの最後のエントリで、

 有限責任中間法人水素研究会のウェブサイトがようやく稼働しはじめました。2008年7月29日におこなわれた発足記念シンポジウムの内容が掲載されています。
 →基調講演 太田成男「水素医学の現状と水素研究会の課題
 →「パネルディスカッション

とお書きになっていて、そこにはヒトの健康にいいという宣伝の根拠になるようなものではない、と釘を刺すような内容が掲載されていたのではないかと想像するのだけど、水素研究会のウェブサイトが10月27日付でリニューアルされているのと関連してかどうか、現時点ではいっさい読めない。このことがapjさんがお書きの太田教授の現時点でのスタンスと関係しているのかどうか、はまぁ一概には云えないのかもしれないけれど。

意見を表明してもマスメディアではその媒体の都合に合わせて曲解されてしまう、と云うのはきわめてありがちで、そのあたりを問題視する論調もネットにはたくさんある。で、多くのひとにアクセシブルでかつ直接コントロール可能なメディアとしてはやっぱりインターネット、とりわけウェブがいちばん(とりわけ人的な)コストの低い方法だ、と云うふうにぼくも思う。

やっぱり、表明しておくべきことは表明しておく、使えるメディアは使っておく、と云うスタンスは重要なのではないか、みたいに思ったりするのだった。活性水素水固体マイナス水素イオンについての言説に量的にはかなわないのだとしても、ネット上で引用可能な状態で正しい言説を置いておく意義はあるし、相応の効果もあると思うので。