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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

ひとのなすこと

ジャズドラマー・パーカッショニストの倉田大輔さんの水からの伝言と云うエントリを読んだ。これも10/8に放送された「ミヤネ屋」への反響。

江本氏に言わせると、「水」はいい音楽を聴かせたり、ポジティブな言葉をかけるときれいな結晶を形作り、逆にひどいノイズやネガティブな言葉を聞かせるとそれはくずれ、歪む。


つまり、「水」は感覚を持ち、全体の70%が水分である人間の身体は無意識にでもそういったものに左右されている。

だから、人と接するときは愛をもって、ポジティブな言動を心がけましょう。




要は大事なのは最後の文章で、学校側はそういったことを道徳教育に取り入れたい、と言っているのだが。

最後にどんなにいいことを云っていても、その理由付けがまずかったら元も子もないんだけど(ほら坊や、おとなしくしてないとあそこのおじさんに怒られるわよ、みたいな云い方と同じ)。と云うか、音楽を生業とするひとが「ある種の音楽(例えばモーツァルト)は水が綺麗な結晶をつくるからいい音楽で、ある種の音楽(例えばヘヴィ・メタル)は水が汚く結晶するから悪い音楽だ」みたいな主張をするひとに共感を示すのを見ると、なんと云うか意気消沈する。

TVでは、調査を依頼された科学者達も真っ向から批判。ていうか、世の中まだまだ解明されてない事のほうが多いのに、人間ごときが作り出した科学の公式くらいで批判されるのも、どうかと。

いや、江本氏が「実験によって証明された」と主張しなければ、少なくとも「ニセ科学」として科学者から批判されることはないんですけどね(江本氏の主張の問題点はもちろんその部分だけではないけれど)。

だいたい、TV側の調査も中途半端。「ありがとう」や「ばかやろう」という言葉を書いた紙を水に見せた時の結晶について、という部分しか取り上げてておらず、「水」に直接言葉を投げかけたり、いい音楽を聴かせる、ということにはほとんど触れていない。

いや主張する側が、そのふたつの場合に違いがある、とはしてないんだけど。

だったら「水」も一緒。




だと思う。



書かれた言葉にしろ、発せられた言葉や音にしろ、聞く人、言う人の脳、心には間違いなく何かしら影響があるものだ。

いや、水にはもありませんが。

ところでこの方、ご自分の演奏するジャズやサルサ、ソンなんかが「汚い結晶をつくる」と云われたら、どうお思いになるのだろうか。悪い音楽だから演奏しない、とか思われるのかな。「水ごときに判断させるな、それは聴く人間が感じて、判断することだ」とはお感じにならないのだろうか。

音楽だって科学だって、ひとのなすことなのだから。音楽をつくるひとには、ひとのなすことを軽侮してほしくないなぁ。