Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

Diner

近所の古道具屋が少し前に移転して、もっと近所に越して来た。で、跡地がなにになるんだろう、とか思ってるうちにその古道具屋の隣の洋服屋も閉じて、そっちが先にタトゥ・ショップになった(うちから500メートル以内にタトゥ・ショップが3つある。どんな土地柄だ)。で、少し前から工事が始まっていて、どうやらバーになるらしい、と得心した。
今日、開店日だった。ので、(様子を見てこいとのつれあいの指令もあったんだけど)呑みに行って来た。

いちおうなんと云うかフィフティーズと云うかシックスティーズと云うか、そのあたりのアメリカのダイナーを意識したようなコンセプト。でもこれ、やってる人間が好きじゃないとあんまりさまにならないコンセプトで、その意味ではまぁ及第点。

仙台では最近、ぼくら街場のちんぴらの古漬けが四半世紀ばかり心の支えにしていた老舗のバーが業態変更をしてしまって、どうにもちょいとばかり困った事態になっていたんだけど(いや、もうぼくは昔みたいにカウンターの置物みたいな人生は送っていないし、いまのぼくのテーマソングはAlabama Songではない)、でもなにかそう云う場所はやっぱり、欲しい。

今日は開店日で、だからスタッフのだれかしらの知り合いが来ていて店は満杯。ぎりぎりはじっこのおまけみたいなテーブルに場所を貰って、やっぱりこう云うときはCoors。奥にスクリーンがあってモノクロの映画が映し出されていて、流れているのはそれこそコンセプトどおりの音楽。でも、それでも20代の手前辺りから感受性の主要な部分をブルース・ブラザースに手伝ってもらって構築した(毒された、とも云うのか)ぼくとしてはまぁまぁ居心地はいい。

店主はぼくよりちょいと年上か。歳を経てすこしばかり量の寂しくなった髪の毛で仕立てるリーゼントは風情があってかっこいい。どうやら彼の相方らしいポニーテールのお姐さんもいて、こちらもこちらで長年美女やってます、みたいな雰囲気で悪くない。今時な感じでハンサムだったりチャーミングだったりするスタッフもまぁ、そこそこ。

オープンしたばかりの店でサービスを云々するのは、いかに野暮を旨とするおいらでもいきすぎで、まぁその辺りはこれから見極めていくことになるんだろう。ぼくは3杯目のラム・トニックを肉厚の六画断面のタンブラーで呑みながら、どうしてこう云う場所でのこう云う味は(実際には存在しなかったかもしれない)ノスタルジーを掻き立てるのだろう、とかちょっと不思議に思ったりしたのだった。