Chromeplated Rat

街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

あなたであること

なんか申し訳ないな、と思いつつ朴斎先生の水に芸術はわからないと云うエントリにトラックバック。ご本人はあまり取り上げられるのをお喜びにならないだろうけど、この文章はマスターピースだ。

何度も云っているけれど、美しさも道徳も、ひとの心のうちにあるのだ。そしてそれは、ひとが社会を構築する動物である以上、宿命的に関係性に規定される性格を持っているのだ。

ひとの数だけ関係性はある。ひととものの関わりも、その関わりの数だけ異なった意味を持つ。そこになんらかの普遍性があるとしても、それは「ひとつひとつの関係性がユニークなものだ」と云うことを前提にしてはじめて意味を持つ普遍性だ。そのことを、例えば科学が裏付けてくれる訳じゃない。

あなたが、あなたであること。あなたにとっても、社会にとっても、そのほかの事象にとっても。
そしてあなたが何かを美しいと感じ、何かを正しいと感じること。
これは、あなたのものだ。

美しさ、正しさを共有すること。このことは、共有する誰かとあなたの間の関係性の中で生まれてくるものだ。水も、波動も、共有すべき美しさも正しさも教えてくれない。あなたが考え、感じることで、美しさも正しさも初めて意味を持つのだ。

美しい言葉は、もちろんある。でもそれが水や波動に教えてもらえるものだと思っているのなら、あなたは本当はまだ美しい言葉を知らないのだ。
美しい造形も絵画も、もちろんある。でもその美しさを感じるのはあなたで、あなたはその美しさをあなたの裡の呼応するなにかとの反応の中で感じるのだ。
音楽の美しさは、そこに含まれている周波数成分なんかで決まる訳じゃない。モーツァルトは美しいかもしれないけど、でもそれは彼の生き方や彼の発する波動なんかに由来するものじゃない。

あなたにとっても、社会にとっても、そしてぼくにとっても。
大事なのはあなたであり、あなたの感じることなんだ。