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街や音楽やその他のものについてのあれこれ。

「甘やかさ」という形容詞

耽美と陶酔のガムラン

耽美と陶酔のガムラン


バリガムランの典型的な2スタイル、ゴン・クビャールとスマル・プグリンガンの大きな相違は楽器の編成の相違にあるようだ。乏しい知識の中で、とりあえずそう理解している。とはいえ、厳密には楽団によって構成する楽器はそれぞれ違うようではある。あとはよく音階の違いが指摘されるが、正直あまりそこまで理解しながら聴いてはいない。

とまれ、個人的にはスマル・プグリンガンの方が沁み入るように聞こえる。穏やかで、柔らかい。癒されたがりの都会人のみなさんにはこちらの方が好まれるかも。
ゆっくりと意識を融かして行くような感覚で、ゴン・クビャールにあるような力づくで意識を奪って行くような快感は乏しいかも。

でもそこはそれ、デーモンはやっぱり潜んでいる気がする。その甘やかさの中に。

下のリンクに挙げたグヌン・ジャティのアルバムなんかに、そう云う部分は特に強く感じたりする。
まず、音が凄い。純度は高いのに尖ったところがどこにもない、柔らかく輝くような音色。長い時間を経たラム酒のような。
ゴン・クビャールのような誇張された起伏はないけれど、それでも抑制された中でうねるリズム。全体として伝わってくる官能性、と云うにはもっと地上的で、肉感的な肌触り。
なんと云うか、昼寝のついでの、半分眠っている状態でのセックス、みたいな。
こういうのも、やっぱり好き。グヌン・ジャティについてはキングレコードからも録音が出ているから、探してみようかな。